Miykaey010613

 

三宅 由佳理

 

日本国内における余暇政策としてのスポーツを考えるとき、それに対する政府の見解が根本にある。

日本の政府がスポーツのあり方をどのように捕らえているのかを見てみることにする。

文部科学省によると、スポーツは人々に楽しみや喜びをもたらし、人生をより豊かにし、

充実したものとする世界共通の文化の一つであるとされている。
平成129月に「スポーツ振興基本計画」(平成1322年度)を策定した内容をまとめると次のようになる。

@     国民のだれもが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでも

スポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現のため、「総合型地域スポーツクラブ」の全国展開を行う。

A     オリンピックなどの国際競技大会で活躍する日本選手の育成・強化、

スポーツに親しむ基礎を培う学校の体育、運動部活動などの充実のための施策に取り組んでいる。

B     これら施策を進めるための新たな財源として「スポーツ振興くじ(toto(トト))」を平成13年のJリーグ開幕時から開始する。

 

スポーツに関する活動を行う政府機関は文部科学省・スポーツ青少年局であるが、

活動内容についてはHPで公表されていなかったのが残念である。

文部科学省HPhttp://www.mext.go.jp/a_menu/sports/index.htm

 

totoが販売されてから効果を上げている点

@     Jリーグ観戦を増やす効果

今年で8年目を迎えたJリーグだが、開幕して3年目から人気は衰え始めていた。

しかし、totoの販売が始まった今年は人気が回復したと言える。

ワールドカップ開催へ向けての人気回復ともとらえられるかもしれないが、totoを購入することで

試合への関心が高まった結果であるとも十分考えられる。

つまり、Jリーグの試合観戦に楽しさを見出した人々が増えたということである。

J1チームのコンサドーレ札幌は96年にJ1へ昇格したが、96年度の試合入場者数は平均で3,137人であったのに対し、

今年度は1stステージ10節終了時点で平均が11,835人に昇っている。

コンサドーレ札幌オフィシャルHPhttp://homepage1.nifty.com/schmitt/

  また、観戦する人の中に「サポーター」という存在がある。

主に自分の住んでいる地域のチームを熱心に応援する集団で、サッカーの醍醐味とも言える。

  このサポーターの人数も増える結果になった。サッカーに興味がない人でも、

toto購入→試合を観戦→サポーター」または「toto購入→サッカーに興味→サッカーを始める」

の図式ができ始めているのではないだろうか。

A     売上と娯楽の点

toto販売開始から試合観戦人数とともに数字を伸ばしているのが経済効果である。

余暇政策の視点からはずれているかもしれないが、この経済効果が余暇にも間接的に関わっていると考えられないだろうか。

totoの売上は第5回の245千万円の売上以来、2桁台を保っている。

サッカーにそれほど興味がない人でも、ギャンブル要素の強いtotoを純粋に賭け事として楽しんでいる人が多いようである。

また、toto関連の出版物に関しても大幅な売上がある。その他、HPも増えている。

YAHOOJAPANで「toto関連」で検索すると約15800件のサイトが見つかった。

趣味としてtotoの予想をHP上で繰り広げているものがほとんどである。

 

totoの問題点

@     八百長などの防止策の欠如

totoが信頼性があり、誰もが安心して購入できるものでありつづけるためには八百長などの不正行為があってはならない。

1度でもあるものならば人々のtotoへの関心はすぐにさめてしまうだろう。

そしてtotoの売上金の使い道なども疑わしいものになってくる。

totoそのものだけでなく、Jリーグそのものへの信頼性をなくしてしまうことは、

人々の余暇をも奪うことになりかねない。

そうならないための防止策が必要である。

A     配当金の不安定さ

売上の50%(当面47%)が配当金へと移るが、当選者の人数によって配当金が毎回大幅に異なる可能性がある。

事実、第12回の配当金は1等で22,290円、2等で793円、3等で260円という結果になった。

ギャンブルとして楽しむ人々にとって、配当金があまりにも低いことはギャンブルとしての魅力に欠ける。

Jリーグでは力の差がはっきりしているため、回を重ねれば当たる可能性がとても大きい。

配当金が毎回低すぎるならば、娯楽要素に欠け、売上も落ちてしまうだろう。

最低配当金額の設定や、売上を上げる策などを考える必要がある。

B     販売店

totoを購入できる場所が少ないため、購入するのに手間がかかる。

現在、購入できる場所はガソリンスタンドの「JOMO」と弁当屋の「ほっかほっか亭」、Jリーグオフィシャルショップなどである。

ほとんどの人が「JOMO」と「ほっかほっか亭」で購入しているが、店舗数が少ないと感じる。

69日付けで販売店を177店増やし、6,366店となったが、全ての地域に販売店があるとは限らない。

どこにでもあるようになったコンビニでの販売が妥当であると考えられる。

18歳以下の青少年が買いやすい場になるともいえるが、

酒やタバコと同じように身分証での確認を徹底して販売すれば問題ない。

販売場所を増やすことで、totoを楽しめる人々の数はもっと増えるだろうし、売上も上がり、

配当金に関する問題も少なからず改善されるのではないだろうか。